Eurasian Poetic Drama   Feat. Min-a Ji   


1 Before  Darkness 暗くなる前に   

2 View from the Ship 船からの眺め   

3 Reincarnation from a Lotus Flower 蓮の華から       

4 Jeju  Lullaby and  Okinawa Balsam 済州島の子守唄~てぃんさぐぬ花   

5 North Korean Lullaby 北朝鮮歌謡 子守唄  

6 Song for Literal Action まつろわぬものたちが    

7 An Korean Elegy  from «ShimCheong-ga» 挽歌「沈清歌」より 

8 A korean Funeral Song  葬列の歌(江原道の「香頭歌」) 

9   Eurasian Sinawi  ユーラシアン・シナウ 

10  In a Day of My Father’s Memory Part Ⅱ  父の記憶の日 2

11 Voices of Diaspora 故国山川    

12  About Sleep  from Old Ainu Lullaby 眠りのお船がおりたぞ   

13 Live forever 千千萬萬歳(青いその波を)   

14  The Beautiful Grandeur of Nature 美しき天然(コブス独奏)   

15  Korean Lullaby 韓国の子守唄     


音楽詩劇研究所 ユーラシアンオペラ「さんしょうだゆう」について

 

中世から説経節などで語られ、安寿と厨子王の物語「さんしょうだゆう(山椒大夫)」はこのようなストーリーだ。

 

いわれなく遠方に左遷された父を探し、母と二人の幼子安寿と厨子王と乳母が磐城から越後へ向かう。しかし日本海で人身売買船に母と子は引き離される。乳母は絶望し、海に身投げした。北の島に流され、泣き濡れて盲目になった母は畑の「鳥追い」に身をやつした。子供たちは西の荘園に売られた。安寿は自身が入水自殺することで生じる荘園の混乱の隙に、厨子王を脱出させる計画を企て、それを実行する。厨子王は北の島で母との再会し、復讐を遂げながら父を探す。

 

 ユーラシアン・オペラでは、北の島を彷徨する母はさらに北のサハリン島、そこで韓国からロシアへと移住する人々に出会い、韃靼海峡の氷の道を渡り彼らとともに極東ロシアに渡った。その後カザフスタンに強制移住させられる。母を探しに渡海した厨子王は韓国の済州島に漂着する。日本、韓国、ロシア、中央アジアの20世紀史を踏まえ、登場人物たちが現代に蘇生する物語だ。

 

 安寿と厨子は現代の韓国の若い姉弟として甦る。彼らが家族のルーツを求めてソ連時代に核実験でできたカザフスタンの人造湖に二人が訪れる場面から始まる。青年は生物のいない湖畔でまどろんだ。「さんしょうだゆう」の物語は「夢の歌」としてその眠りのなかに展開する。物語はさらに韓国のパンソリで知られる「沈清歌」と融合する。自害した安寿は「沈清伝」のヒロイン沈清(シムチョン)となって再生する。「さんしょうだゆう」は本CDシリーズの中に通底する重要なテーマとして両アルバムの各曲の中にも再現されている。


1 暗くなる前に  (作詞:河崎純 作曲: 河崎純)  

 

 河崎純(キーボード)

 

「陽が落ちて真空の暗闇に包まれる/その前に目を閉じて世界の闇から聴こえて来る声をきこう」


2 船からの眺め(歌詞:「沈清歌」より 作曲: 河崎純)

 

崔在哲(韓国打楽器)松本ちはや(打楽器)髙橋奈緒(ヴァイオリン) 高岸卓人(ヴァイオリン) 森口恭子(ヴィオラ) 山本徹(チェロ) 河崎純(コントラバス、エレキベース・キーボードほか)

 

貧困にあえぐ盲目の父を救うために、生け贄となって海に身を捧げる少女の沈清(シムチョン)が、荒波をゆく船からの景色を歌う「沈清歌(伝)」の一場面。

 

「茫々と果てなく広がる蒼海を船は行く。果てしなく波濤が逆巻いている。白い花の咲く水草の生えた中洲の鷗が飛び交い、紅蓼の岸に飛びきて海は合流し、雁は砂浜に降り立つ景色に、騒がしき波音に漁師の吹く笛の音にまざって「曲終われども人(演奏していた人の姿)見えず、江上数峰青(山々が青く霞んで見える)」船唄の声にしたがって、うねりながら流れる水が 古く漢詩に詠まれたのは、まさにこの世の絶景」

 

心情をダイナミックに歌う場面とは異なり、漢詩の教養を交えて格調高く荘厳だ。封建社会の抑圧された民衆に愛されたパンソリは、支配階級である両班社会にも好まれた。語り手は、宮廷や官僚の教養(漢文、漢詩)も求められ、漢語も織り交ぜて工夫することも要求された。ジー・ミナ本来の歌唱は熱情的なパンソリの唱法とは異なるが、ここでは彼女が学んだ宮廷国楽「正歌」と民衆に愛されたパンソリと現代的な感覚が融合した。「山椒大夫」と「沈清歌」という二つの口承芸能が繋がり、宮廷の貴族ではなく民衆の魂が現代に甦る。


3 蓮の華から (作曲: 河崎純) 

 

渡部寿珠(フルート)髙橋奈緒(ヴァイオリン) 高岸卓人(ヴァイオリン)森口恭子(ヴィオラ) 山本徹(チェロ)河崎純(コントラバス)三浦宏予(朗読)

 

親孝行が讃えられた沈清(シムチョン)は、蓮の花の中に入って海を渡り、海の王子に迎えられ妃になる。一方で娘に救われて生き残った父は愛欲にふけっていたが、盲目のために女に騙され絶望する。パンソリではそのような場面もコミカルに歌われ民衆を喜ばせた。勧善懲悪や仏教的叙情にストーリーが収斂されてゆく傾向がある日本の口承芸能とは異なり、韓国の伝統芸能は、民衆の姿の力強さ、人間の多様性を許容する。

 

最後の台詞は、様々に伝搬する「山椒大夫」が青森の巫女たちに伝わった「イタコ語り」のバージョン「お岩木様一代記」より。土に埋めらていた赤ん坊(安寿)が、土と藁の中から自力で誕生する場面の台詞。

 

「死んだものだべが 生きだものだべか 掘りあげで見れば 私の身の上は 死んだわけでもなし 成長(おが)つて笑ってる身体である」


4 済州島の子守唄~てぃんさぐぬ花(韓国・琉球民謡 編曲: 河崎純)

 

崔在哲(韓国打楽器・ヴォーカル)松本ちはや(打楽器)近藤秀秋(ギター・チェロ)

 

済州島の子守唄は独特で、エギドク (揺り籠)を揺らしながら歌われた。 家事や農作なども女性がほとんどをこなしたため、仕事の合間に唄いながあやして寝かしつけた。 済州島は、風、石、女性、の存在が象徴的だ。⾃然豊かな島であり古来たくさんの神話が存在した。半島からだけではなく、古くは蒙古や琉球とも関わりを持ち、さまざまな文化が海を渡り、独⾃の文化が育まれた。琉球と済州島も海を跨いで交流や往来があったといわれる。琉球で「てぃんさぐぬ」と呼ばれる鳳仙花は、韓国で最も大切にされている花だ。曲の終わりに、ハミングで琉球民謡「てぃんさぐぬの花」の歌い、韓国語翻訳を朗読している。家族の出自をこの地にももつ打楽器奏者の崔在哲(チェ・ジェチョル)がチャンゴと声で合いの手をいれる。

 

1. ホウセンカの花は/爪先に染めて/親の言うことは/心に染めなさい

2. 天上に群れる星は/数えれば数えきれても/親の言うことは/数えきれないものだ

3. 夜の海を往く船は/北極星を目当てにする/私を生んだ親は/私の目当て(手本)だ


5 北朝鮮歌謡 子守唄  (作詞・作曲: 리한범 編曲: 河崎純) 

 

熊坂るつ子(アコーディオン)青木菜穂子(ピアノ)松本ちはや(打楽器)

 

「わたしの赤ん坊よ 眠って夢の国に旅だっておくれ わたしの可愛い赤ん坊

 

北朝鮮の子守唄。韓国の歌手チョー・ヨンピルが平壌に招かれた時、北朝鮮の歌謡曲のなかからプロパガンダ的要素がないこの曲を選んで歌った。民謡ではなく「つくられた」子守唄で、作曲家は日本統治時代に日本の音楽学校で西洋音楽を学んだ。


6 まつろわぬものたちが (歌詞:「興甫歌」より 作曲: 河崎純)

 

崔在哲(韓国打楽器)松本ちはや(打楽器)河崎純(キーボード)熊坂るつ子(アコーディオン)

 

歌詞はパンソリの歌唱で知られる「興甫歌」の一節。身体に障がいをもつ人々が瓢から次々に現れる。

 

「ぐいと引き出せば、奉事(めしい)がその数、五、六百その紐につかまりて、ぞろぞろと出で来る。後ろより現れ出でたるは、片腕者、足萎え、指無し、半身不随、義足の者、蜜紙(ろうがみ)にて鼻覆いし者、脚に血を塗りし者、胸に穴のあきし者、しもやけの顔ぐじぐじとくずれし者、唇落ちて 乱抗菌のすけすけに見ゆる者、脚ぶくぶくに腫れ上がり柱ほどにもなりし者、背骨がぐいと盛り上がり太鼓を背負いしごとき者、身の丈一尺ほどの者、口が片方に歪みし者、皮の冠かぶりし者、チェップル冠をかぶりし者、破れ平涼笠かぶりし者、熊手巾の紐さげし者、刑杖の担い紐のみ負いし者、甘苔(のり)一握りとぼろ空石(むしろ)を背負いし者、籠を寝床にし灰だらけの姿に出で来し者、つづれの袴衣の単衣(ひとえ)の夏着にランタンの油煙しみたる者、ぞろぞろ次から次へと…」

 

パンソリの歌は負のエネルギーのように思われる「恨(ハン)」を解放させる民衆の生命力に溢れている。ジー・ミナが、宮廷の歌い方ともパンソリとも異なる独自の解釈で歌っている。韓国には「障がい者」の身体や表情を模倣する「病身舞」という独特の伝統芸能がある。それは皮相的、一面的に批判されることもある。


7 挽歌(韓国民謡 編曲: 河崎純) 

 

河崎純(コントラバス)

 

「お前が死んでもこの道、私も死ねばこの道だ。人間の世界を去るのはどんな人間も同じだ。」

 

パンソリ「沈清歌」の中で、赤子(沈清)を残して先だった妻の死を嘆く夫(沈清の父)が歌った挽歌の一節を歌とコントラバスだけで演奏。韓国には各地方に棺を担ぎながら歌う葬列歌(サンヨソリ)が多く残されている。

 

パンソリの「パン」は場、「ソリ」は音を意味する。たとえばこのように説明されている。

 

<パン>人が多く集まって、あることが行われている場所。。その開始・経過・終結の全過程。

<ソリ>自然界の音響・音声のすべて。笑い声、泣き声、ため息など多様な人間の情と「恨」の声。


8 葬列の歌(江原道の「香頭歌」)(韓国民謡 編曲: 河崎純) 

 

熊坂るつ子(アコーディオン)崔在哲(韓国打楽器)河崎純(コントラバス)

 

「世上天地、万物の中 人間の他にまた何があろう」

 

儒教が重んじられた李朝では、高麗時代に保護されていた仏教や民衆の古来のシャーマニズムは公的に禁じられたが、民衆の慣習や死生観には残った。これは農村や葬列に歌われた世俗の仏教挽歌で輿かつぎが唱う冒頭の定型的な歌詞のみを用い、さらに「沈清歌」の言葉を重ねた。


9  ユーラシアン・シナウィ(作詞: ロマン・ヘ  音楽:即興演奏)

 

セルゲイ・レートフ(サックス)ヌルヒャン・ラフムジャン(ドンブラ)河崎純(コントラバス)崔在哲(韓国打楽器)マリーヤ・コールニヴァ(声)吉松章(謡)

 

「私が家を離れて死ぬとき 青い海の上に私の骨を撒いてほしい 風がそれを春川まで運ぶ 私の臍の緒が埋まっている土地に。 私は私の人生にひとつの願いがありました: 母国の地に雨が降って、 草が伸びること 私の臍の緒が埋まっている場所に。 風が吹いて私の灰が吹かれて 軽くなって重さを失い塵になる 梨の花が咲き乱れ 私の臍の緒が埋まっている土地へ…  /父の記憶の日に」

 

ユーラシアンオペラ「さんしょうだゆう」で、安寿は土の中から笑いながら生まれ、笑いながら水の中に死んでゆく。これを舞踏で表現した場面の音楽。強制労働によって聾唖となった安寿の身体の内なる声をロシアの歌手マリーヤ・コールニヴァが表現した。カザフスタンの弦楽器ドンブラ、韓国の打楽器チャング、ロシアの前衛サックス奏者セルゲイ・レートフ、コントラバスで韓国の巫覡の合奏「シナウィ」の形式とリズムを用いて即興演奏したソウル公演のライブ録音に、厨子王を演じた吉松章による能の囃子をオーヴァーダビングした。

 

李朝末期の転換期にあった朝鮮半島や日本統治の前後、多くの人々が朝鮮半島から極東ロシアに移住した。第二次世界大戦で日ソが敵対関係になったため、スターリンによって日本人スパイの嫌疑をかけられ、中央アジアの地に強制移住させられた。同じ時期、国家総動員法により多くの朝鮮人が労働力としてサハリン島に移住させられた。詩はサハリン島に暮らす詩人ロマン・へによるロシア語の詩。終戦の直前、ソ連軍の侵攻を逃れることができた日本人の大半は本国に帰還した。ソビエトとなった樺太からは韓国人は南朝鮮への帰還は叶わず、ロシア人として暮らしている。両親は1940年日本統治時代の樺太へ渡り、「日本人」として暮らし、第二次大戦後は「ソ連人」として暮らした。ロマン・ヘは戦後の1949年に生まれている。ロシアの歌手マリーヤ・コールニヴァが朗読した。シリーズのvol.2では韓国語に翻訳し、反対に韓国語で朗読される本シリーズの次作では彼女によりロマン・ヘの詩が多く歌われている。


10  父の記憶の日(作詞: ロマン・ヘ  作曲: 河崎純)

 

渡部寿珠(フルート)近藤秀秋(ギター)青木菜穂子(ピアノ)松本ちはや(グロッケンシュピール)河崎純(エレキベース)マリーヤ・コールニヴァ(声)

 

前9曲目の詩が韓国語に翻訳されて朗読される。曲の後半では、ジー・ミナが、妃になった沈清が盲目の父や韓国中の盲人の目が開く音のオノマトペを囁き、コールニヴァが反復した。妃になった沈清が盲目の父や韓国中の盲人の目を開く「沈清歌」のラストシーン。韓国語にはユニークな擬音が多い。なお、ロシア語にはオノマトペがほとんどないと、コールニヴァから聞いた。


11 故国山川(歌詞: 不承  作曲: 田中穂積 編曲: 河崎純)

 

青木菜穂子(ピアノ)河崎純(コントラバス・キーボード)サインホ・ナムチラク(声)

 

「故国山川をあとに数千里 山も川も見知らぬ他郷に身を置いて 淋しい心に思うは故郷 思い出すは懐かしい友よ」 (姜信子 訳)

 

極東ロシアや中央アジアへと移住した高麗人が歌い継いだ故郷を思う歌。歌詞は明治時代に作曲された日本の「天然の美(美しき天然)」と大きく異なり、一部の旋律は歌われていない。日本の伝統に独特で朝鮮半島では用いない音階の部分だ。現代の日本人にとっても違和感のない旋律だ。録音時に ジー・ミナもオリジナル旋律も歌うことを何度も試みたが難しかった。この曲は日本の伝統音楽や民謡には三拍子のものがほとんどなかったため、初めての三拍子の曲と言われている。サーカスのジンタ、チンドン屋のメロディーとして現在でも親しまれている。三拍子が多い朝鮮半島の人々には馴染み安かったのかもしれず、詞を変えて歌いながら遠い故郷を思った。

 

ここでは高麗人のバージョンで歌われる。「さんしょう大夫」で盲目の母を演じた、ロシアのコンテンポラリーダンサー、アリーナ・ミハイロヴァの母方のルーツも釜山の出身高麗人だ。カザフスタン公演の際、高麗人の老夫妻をたずねて、河崎とともにインタビューをし、歌の記憶をたずねた。この曲にはそのドキュメント音源が挿入されている。ロシアのキリル文字で書かれた歌詞カードを見ながら「アリラン」を歌った。中央アジアやロシアに暮らす多くの高麗人はすでに韓国語をよく理解することが困難だ。最後にコントラバスのピチカートで奏でているのは、美しい旋律をもち今も韓国で親しまれる「青い鳥」。独立、抗日運動で殺された全奉準を讃えた歌でもある。


12  眠りのお船がおりたぞ(歌詞: アイヌ民謡「60のゆりかご」より 作曲: 河崎純)

 

渡部寿珠(フルート)髙橋奈緒(ヴァイオリン) 高岸卓人(ヴァイオリン)森口恭子(ヴィオラ) 山本徹(チェロ)河崎純(コントラバス)

 

「この世界に 世界の上に 降ってきて / そこから 生まれるのが眠りというものです / あなたはそれを聞きたくて啼いているのですから / 私が聞かせてあげますよ そう歌うんだと / 眠りのお舟が 降りたぞ 降りたぞ」

 

アイヌの子守唄「60のゆりかご」の歌詞の日本語訳。作曲はいかなる民族性をもとりのぞくことが目指された、いわば「人工の唄」だ。例外的に子守唄「ピリカピリカ」の一節がフルートの演奏によって引用されている。このCDシリーズでは日本語を理解しない歌手たちが日本語で歌う曲が数曲ある。異国語の中に母語の痕跡が残る。民族間で言語や文字を奪い強制してきた歴史も踏まえる必要がある。しかし意味を超えた響きが、民族性の差異を超える新たな魂を音楽に宿すことができるかもしれない。


13 千千萬萬歳(青いその波を)(作曲: 河崎純)

 

渡部寿珠(ピッコロ)近藤秀秋(薩摩琵琶、ギター)髙橋奈緒(ヴァイオリン) 高岸卓人(ヴァイオリン)森口恭子(ヴィオラ) 山本徹(チェロ)松本ちはや(打楽器)河崎純(キーボード)吉松章(謡)三木聖香(ヴォーカル)サーデット・チュルコズ(ヴォーカル)

 

「千千万万才を生きてください  この歌がやんでも きれいなあなたは永遠に忘れることができない。」(「沈清歌」より)

 

エレクトロニクスと室内楽編成を中心にし、近藤秀秋による演奏は盲僧琵琶に通ずる薩摩琵琶で録音された。この曲では歌手本来の韓国宮廷音楽の歌唱法でゆっくりと時間をかけて歌われる。吉松章は謡曲「高砂」などでも用いられる、千秋楽と永遠を願う「萬才」を歌い、さらに、トルコの歌手の中央アジアカザフ族の子守唄など歌が混ざり合う「夢の歌」。


14  美しき天然(コブス独奏)(作曲: 田中穂積   編曲: 河崎純・ヌルヒャン・ラフムジャン)

 

ヌルヒャン・ラフムジャン(コブス)崔在哲(声)

 

「青いその波の上で蓮の花になって目を開いてください この歌がとまってもきれいなあなたは永遠に忘れることができない。」(「沈清歌」より)

 

11曲目で歌われた旋律をイスラム化以前のシャーマニズムで用いられてきたカザフスタンの古楽器キル・コブスを伝統楽器奏者ヌルヒャン・ラフムジャンが独奏。歌を探しに日本を訪れた、韓国の青年(厨子王の子孫)が、父の行方を求めて東京の東上野のコリアンタウンから街を歩き、蓮の葉の緑で埋められた不忍池の畔で佇んでいる。桃色の布を被った女が映像の中に入ってくるように現れた。韓国、日本の古い説話の二人のヒロインが彼女の身体で一つに重なった。在日コリアンである打楽器奏者のチェ・ジェチョルは「さんしょうだゆう」ソウル公演では、すべて韓国語を用いて歌唱や朗読を行ったが、この場面だけ母語である日本語で朗読した。


15  韓国の子守唄(江原道民謡 編曲: 河崎純) 

 

熊坂るつ子(アコーディオン)河崎純(コントラバス)松本ちはや(打楽器)

 

「ねんねこ ねんねこ 我が子よ。ねんねこ ねんねこ 我が子よ / コッケコー鶏よ、鳴くな。我が子が目覚める

ワンワン ワンコよ、鳴くな。我が子が目覚める / ねんねこ ねんねこ 我が子よ。ねんねこ ねんねこ よく眠る」

 

歌手自身の記憶による、江原道伝承の子守唄。

ビオロギヤ・ミュージック

 

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